未払金や未払費用で節税

一般的に、節税対策というのは決算までの間に事前に行うものですが、いざ決算になった時に想定以上に利益が残り税金が高くなってしまった、ということはよくある話です。

実は、そんな決算の日が過ぎてしまったタイミングでも、申告するまでにできる節税対策があります。

かなりざっくり言うと、まだ払ってない経費を先に計上して、利益を圧縮することができるというものです。

それを「未払金や未払費用を計上する」と言います。

「未払金」や「未払費用」なんて言葉は聞いたこともないという方もおられるかもしれませんので、未払金や未払費用がどういったものを指すのか、これから解説していきましょう。

まだ払ってない未払金なのに経費になるって本当?

冒頭でも少し触れましたが、実は要件を満たしていれば、決算後でも支払いが翌期になることが確定している費用を今期の経費として計上することが可能です。

さて、その要件というのが

  1. 当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
  2. 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
  3. 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

引用元:国税庁 販売費及び一般管理費等

支払う義務が確定していて、支払う義務に基づく契約が結ばれていて、支払金額を計算できれば計上することができるという事です。

計上時にお金は出ていかないのに経費に計上できることから検討される方が多い方法です。

未払金と未払費用の違いについて

まだ払っていない費用を、今期の費用として計上する際に使われる勘定科目が「未払金」と「未払費用」なのですが、似た名前ではあるものの、その支払いが単発なのか継続的なのかでどちらを使うかが変わります。

未払金と未払費用、どちらも同じ後払いになっている費用の事ですが、未払金は「単発で購入した場合」に使う勘定科目なのに対し、未払費用は「継続してサービスの提供を受ける場合」に使う勘定科目です。

どの勘定科目を使うのかは以上の通りですが、実際にはどのような費用の事を言うのでしょうか。

未払金と未払費用について具体的に見ていきましょう。

通信費や水道光熱費について

通信費は業者によって締め日が決まっている事が多いかと思いますが、水道光熱費の場合は月の途中で検針があるなど利用日が決算を跨ぐということはよくあります。

この場合、締め日から決算日までを日割りして未払い費用として計上することが可能です。

人件費について

従業員の方に支払うお給料も未払費用として計上が可能です。

締め日は事業者によって異なりますが、例えば3月決算の法人を例に説明しますと、

  • 月末締め翌月払いの場合、4月に支払う3月分のお給料を未払費用として計上することが可能。
  • 締め日が15日や20日といった月の途中であっても、締め日から決算の日まで(15日締めの場合3月16日~3月31日まで)のお給料を未払費用として計上する事が可能。

となります。

社会保険料(会社負担分)について

社会保険に加入していると、社会保険料の半分は会社が負担しているかと思います。

この会社負担分について、当月分を翌月に払っている場合、3月決算の会社は3月分(決算月分)を4月(決算後)に支払うことになります。

これを未払費用として計上することができます。

家賃や駐車場代などは?

これも契約内容によりますが、当月分を翌月に支払うケースの場合、先程の社会保険の会社負担分と一緒で、未払費用として計上することができます。

当月分を当月末に支払うようなケースは計上出来ませんので、契約内容を確認しておきましょう。

税金も計上できる?

税金の中でも、消費税や不動産取得税、固定資産税など必要経費に算入する事ができる税金については、その中でも「既に金額が決定しているもの」は今期の費用として計上が可能です。

簡単だが注意すべき点とは?

ここまで読まれて、簡単だからウチも計上するぞ!と考えられる方もおられるかと思いますが、実は注意点もありますので、以下のような点に気をつけてください。

翌期以降も同じ処理をすしなければならない

基本的に、継続して未払金や未払費用として計上することになります。

単年ではなく来期も含め検討する必要がある

今回ご紹介した節税方法は、あくまでも来期に支払う費用を前倒しで計上する方法ですので、今期だけではなく、来期の利益の見込みと一緒に検討することをおすすめします。

まとめ

今回は未払金と未払費用について解説致しました。

ご紹介した中には、条件や使用する勘定科目が異なるものもあり、内容をよく確認して計上する必要があります。

税理士のようなプロに依頼していれば悩む必要はありませんが、一般の方が全てを理解して正しく処理をするのは、なかなかハードルが高いかも知れません。

ただ今期に想定外の大きな利益が出て、来期は利益の見込みが少ないといったご状況の場合は、この方法を活用するものも一つの手でしょう。

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